簡易裁判所から消滅時効の支払督促が来た場合の対応を解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所。

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よくある質問

 

Q.簡易裁判所から消滅時効の支払督促が来たら?

借金の消滅時効の相談は多いです。

そのなかで、簡易裁判所からの支払督促が届いたが、消滅時効ではないか、という相談もあります。

そこで、支払督促手続きの解説と、やるべき対応をまとめておきます。

 

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.6.21

 

簡易裁判所から支払督促が届いたら?

簡易裁判所から支払督促という文書が届いたら、どうすれば良いのでしょうか。

これは無視できないものです。何らかの対応が必要です。

まず、郵便物の内容の確認をしましょう。

裁判所の支払督促という手続を無視すると、財産の差し押さえをされたりします。

しかし、そもそも、裁判所の正式な支払督促という手続ではない可能性もあります。

 

たとえば、差出人が消費者金融、クレジット会社、債権回収会社などの場合には、それは請求書です。

支払督促や民事裁判をするという予告書であることも多いです。

これらは、簡易裁判所の支払督促とは違います。

支払督促は、郵便で届きます。メール、LINE等では届きません。

差出人が簡易裁判所であれば、郵便物を受け取り、内容を確認しましょう。

自宅のポストに不在通知があり、裁判所からの書類である場合には、無視せず、しっかり受け取るようにしましょう。

無視すると、自分が内容を確認しないまま、裁判所の手続が進められてしまうリスクが出てきます。

 

支払督促の郵便物中身

簡易裁判所からの支払督促が届いた場合には、封を開けて内容を確認します。

裁判所の支払督促手続であれば、裁判所書記官の印鑑が押された支払督促(当事者目録、請求の趣旨及び原因等)と、手続に関する説明書、異議申立書の書式などが入っていることが多いです。

厚木簡易裁判所支払督促

 

支払督促異議申立書

支払督促の当事者目録には、申立をした債権者と、相手方である債務者が書かれています。

請求の趣旨及び原因という紙には請求内容が書かれているはずです。貸金業者の請求の場合には、遅延損害金計算等のための計算書(取引履歴のようなもの)が添付されていることも多いです。

その内容を確認し、身に覚えがあるか、反論できる内容かを確認します。

消滅時効を争うような事案では、債権者が、元の貸金業者から債権回収会社に変わっていることも多いですので、何の借金から来たものであるか確認しましょう。

 

支払督促に対する異議

簡易裁判所の支払督促に対しては、異議が出せます

これは、内容を争う場合にはもちろん、何の理由がなくても出せます。

異議を出すと、支払督促手続は、民事裁判手続に移行します。

支払督促手続は書面だけでの手続ですので、裁判所での和解の話もありません。

分割払いにしてもらいたい、という和解の話をする際も、まずは支払督促に対する異議書を出します。

そのうえで、裁判手続であれば、司法委員や裁判官を通しての和解協議もされやすいです。

 

支払督促に対する反論ができるか

消滅時効との関係では、支払督促が届いたときに、確認する点があります。

それは、消滅時効の主張ができるかどうかです。

債権には、消滅時効期間というものがあります。

法改正もあったので時期によっても違うのですが、貸金業者からの借金の消滅時効であれば5年です。

債権者が一括返済できる状態になってから、5年間、返済も取引もなく、裁判手続もなかったのであれば、消滅時効の援用をすることで、支払義務をなくせる可能性があります。

 

支払督促による時効の中断、更新

債権者は、このような消滅時効にならないように、時効期間内に、支払督促や民事裁判をする必要があるのです。

この場合、時効は止める効果があります。時効の中断や更新と呼ばれるものです。

しかし、多くの債権を管理する貸金業者や債権回収業者は、このような手続をすべての債権でできていません。大変だからだと思われます。費用対効果に合わないという判断もあるかもしれません。

裁判でしっかり時効がリセットされているものもあるのですが、そのような対応ができず、消滅時効期間が過ぎているものもあります。

 

消滅時効完成後の支払督促

消滅時効期間を経過しているにもかかわらず、簡易裁判所の支払督促がされることは多いです。

アペンタクルなどの消費者金融でもありますし、アビリオ債権回収、パルティール債権回収、オリンポス債権回収が申し立ててきたという相談も多いです。

これらの業者が申立人になった支払督促事件でも、消滅時効期間内にされているものもありますが、かなりの割合が消滅時効期間が過ぎたあとに支払督促の申立がされています。

なぜ時効期間内に申立をせず、時効期間が過ぎてから申し立てをするのか疑問ではありますが、もともと債権を取得したときから時効になっていたり、貸倒れ処理で必要になったものかと推測されます。

なお、消滅時効期間が経過した債権で支払督促を申し立てる行為で、債権回収会社が対応するのは良いものの、弁護士が代理人として申し立てるのは避けるべきだとしている文献もあります。

 

このような消滅時効期間が過ぎた後の支払督促であれば、もちろん異議を出す必要があります。

それとともに、消滅時効の援用をします。

 

簡易裁判所の支払督促に対する異議の期間

支払督促に対する異議期間は2週間と考えておくのが良いでしょう。ここで異議を出しておけば差し押さえリスクはなくなります。

厳密には、支払督促について、債務者への送達後2週間以内に、異議の申立てがないと、債権者の申立てによって、支払督促に仮執行の宣言が記載されるものとされています。

仮執行宣言付支払督促が債務者へ送達されると、その時点で執行力が生じます。

確定を待たずに強制執行ができます。そこから2週間が経過し、その間に債務者の異議がなければ確定します。

これにより確定判決と同一の効力を生じます。

異議の最終期限としては、仮執行宣言付支払督促の債務者への送達日から2週間となります。

ただ、仮執行の宣言後の異議だと、異議によっても仮執行宣言付支払督促は失効しません。

そのため、強制執行を停止する、差し押さえリスクを避けるためには、別途、強制執行の停止又は取消しの申立てをしなければならないのです。

 

 

督促異議申立書の書き方と時効の援用

時効完成後の支払督促への対応は2つです。

督促異議申立書を出す、消滅時効の援用をする、です。

時効完成後に申立をされた支払督促であれば、この対応をすることで、取り下げられます。

実際には、督促異議により民事訴訟に移行、その後に訴えの取り下げとなることがほとんどです。

裁判所から訴えの取下書が届き、相手が消滅時効の援用を認めたことがわかります。

支払督促取り下げ

 

 

支払督促の取り下げ

支払督促は、終了するまでは取り下げができるとされています。

ただ、債務者からの異議が出されると、民事訴訟に移行し、民事訴訟の規定に従います。そのため、訴えの取下げの手続になるのです。

異議後の取り下げで、急に訴えの取下げ書が届くので驚くかもしれませんが、このような民事訴訟移行規定があるためです。

 

支払督促異議申立書への消滅時効の記載

通常、異議書の書式では、

「頭書事件についてされた令和○年○月○日付け(仮執行宣言付)支払督促は不服であるから、異議を申し立てる。」という本文が記載されています。

督促異議申立書には、とくに理由を書く必要はなく、異議だとわかれば効果は生じます。この書式を使った定型文なら異議だとわかります。

ただ、消滅時効の援用をするのであれば、その旨を記載しておけば、時効援用の趣旨は伝わります。

 

消滅時効の援用

消滅時効の援用手続は、相手に対して伝える必要があります。

民事裁判であれば、答弁書に記載をすることで、相手にも送達されます。答弁書に消滅時効を援用すると記載しておけば主張したことになります。民事裁判の場合、消滅時効の主張は法廷でしても構いません。答弁書が陳述されれば、主張をしたことになります。

支払督促に対する督促異議申立書に、消滅時効の援用を記載することもできます。

異議申立書の書式には、細かい反論を記載するスペースはないことが多いですが、別紙などにして、「本件債権について消滅時効を援用します」と記載すれば援用にはなります。

このような反論が記載された異議申立書が出された場合、その書面は裁判での準備書面としての性格も兼ねることから、簡易裁判所は債権者に副本を交付する必要があるとされます。

これにより債権者に届きます。

 

督促異議申立書と援用通知

少しでも早く消滅時効の援用通知を送りたければ、裁判所に異議申立書を提出しつつ、相手に消滅時効援用通知を送る方法もあります。

相手は時効援用通知を受け取り、支払督促に異議まで出されていれば、趣旨はわかるので、訴えを取り下げてくる可能性が高いです。

支払督促が届いたという相談を受け、消滅時効の一連の手続を依頼された場合には、ジン法律事務所弁護士法人では、異議書の提出とともに、受任通知代わりに時効の援用通知を送ってしまうことが多いです。

 

時効なのに仮執行宣言付支払督促が出た場合

支払督促は異議がなければ、仮執行宣言が付きます。

支払督促は、申立てにより支払督促が出され、次に、仮執行宣言の申立てにより、支払督促に仮執行の宣言がされるという二段階の手続です。

仮執行宣言付支払督促が確定すると、確定判決と同一の効力を有するとされています。

これにより、相手の財産を差し押さえる強制執行ができるようになります。

時効の主張をしておかないと差し押さえのリスクがあるのです。

 

支払督促と既判力

簡易裁判所の支払督促について調べている人の中には、既判力という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

既判力は、民事裁判の判決の効力の一つで、あとから覆せないというものです。

たとえば、時効だったのに、民事裁判を無視して、判決が出てしまったという場合、あとから消滅時効だとして判決を覆すことはできないのです。

これに対し、簡易裁判所の支払督促には既判力はありません。発行するのが裁判官ではなく、裁判所書記官だからです。

無視してはいけないと伝えたのですが、厳密には、あとから消滅時効だったという主張はできます。

ただ、仮執行宣言付支払督促では、差し押さえ自体はできるので、強制執行までされてしまうと、争うのが大変なのです。そのため、なるべく、支払督促が届いた直後に時効の対応をしておくほうが良いのです。

 

既判力との関係で、支払督促をまとめると次のとおりです。

支払督促時点で時効完成→あとから援用可能

支払督促時点で時効期間前→中断・更新により時効はリセットされていて援用できない

あくまで支払督促の時点で消滅時効期間が過ぎていたかがポイントになります。

 

動画での解説はこちら。

 

 

 

消滅時効が過ぎている借金について、簡易裁判所から支払督促が届いたら、無視してはいけません。対応すべき内容はお伝えしたとおりです。

それほど複雑な手続きではありませんが、不安なら専門家に相談、依頼などして進めればよいでしょう。

 

 

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