税金の滞納処分、差押えの特徴を解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所。

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Q.税金の滞納処分の特徴とは?

債務整理を希望する人の中には、税金を滞納していることも多いです。しかし、これは危険な状態。

税金の支払いが遅れ、滞納処分、差押えがされると、生活自体が行き詰まることも多いです。

このような滞納処分とは何なのか、普通の借金の差押えとの違いを解説します。

 

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.9.7

 

税金の滞納処分とは

税金の滞納処分は、裁判所を使った民事執行手続き、差し押さえとは別の手続きです。

滞納処分では、徴収吏員や徴収職員に自力執行権があります。

自力執行権は、債権者が債権を実現する目的で、自ら質問したり、検査できたり、債務者の同意がなくても捜索、差押
え等の強制手段を使える権限です。裁判所を使わずに差し押さえもできる力があるのです。

 

普通の債権での差し押さえには債務名義が必要

これに対し、このような税金以外の、普通の債権者には、このような自力執行権はありません。

普通の債権者が債務者の財産を差し押さえるには、債務名義が必要です。債務名義は、裁判所の判決や、強制執行を承諾するという公正証書などです。

裁判所や公証役場のような中立な第三者が関与することが必要とされているのです。

 

債務名義によって、債務が存在するということが示されます。

裁判所の判決や、公証人による公正証書を作成してもらうことで、中立な第三者に認めてもらえた債権となるのです。

 

普通の債権での差押は、裁判所に申し立て

さらに、この債務名義を使って債務者の財産を差押えする際にも、中立な第三者が関与します。

裁判所での申立が必要です。

裁判所に強制執行の申立をした後、不動産や債権の差押えでは裁判所がおこないます。

動産の差押えは、裁判所の執行官が行います。

また、事前に調査も必要です。

これらの差押えをする際には、何を差し押さえるのか対象物を特定する作業を、債権者がする必要があります。

銀行預金であれば、どの銀行のどの支店の預金口座を差し押さえるのか特定し、債権差押の申立をするのです。

そのような財産の特定には、債務者の個人情報を調査しなければなりません。

裁判所の判決がもらえたものの、相手の財産が調査できずに回収できないというケースも多いです。

 

 

税金の滞納処分

これに対し、滞納処分は、裁判所を通さずに、自分たちだけで進めることができます。

納期を過ぎても、税金の納付がない場合には、徴収吏員は、督促状を送付。

ここから10日を経過後も納付がなければ、すぐに差押えができるのです(徴収法47条1項)。

裁判所や公証人のようなところに、債務名義を取得する、債権の存在を確認してもらう段階を飛ばせるのです。

差し押さえまでのステップが早いのです。

 

税金の差し押さえ

さらに、差し押さえ手続自体も強力です。

滞納者の財産を差押えする際、動産の差し押さえでは、徴収吏員が直接取り上げることができます(徴収法56条)。

債権の差し押さえでは、徴収吏員が債権差押通知書を作成して、差押えをできます。

不動産の差し押さえでも、徴収吏員が差押書を作成して、差し押さえができます。

このように、債権者である徴収吏員自身が、債務者に対して、直接的に差し押さえができるのです。

裁判所のような第三者を通さず、第三者の審査もなく、直接、強制的な徴収ができる強い手続きです。

 

税金による財産調査も強い

さらに、税金の差し押さえでは、調査権限も強いです。

一般債権者であれば、債務者の財産調査は大変です。民事執行法で財産開示手続きなどもありますが、要件も厳しく、機能しているとは言い難い状況。

これに対し、税金の徴収吏員では、滞納者や税滞納者の財産に関係すると認められる相当の理由のある者に対しては、直接質問や検査をできます。

質問や検査に対し、虚偽の事実を述べれば、罰則規定もあります。

さらに、徴収吏員が、滞納者の住居に立ち入っての財産調査、滞納者の財産があると認められる相当の理由がある場合には第三者に対しても強制的に調べることができます。

預貯金、職場関係の調査もできてしまうわけです。

 

これらの手続きは、強制手続。

このような調査に対し、暴行や脅迫で妨害すると、刑法の公務執行妨害罪が成立してしまいます。

 

強い滞納処分が行き過ぎることも

第三者の審査が入らないということは、暴走しやすい構造にあります。

税金は優先されるため、このように強い権限が与えられていますが、債務者の人権を守る必要もあります。

これを侵害し、行き過ぎた取立がされるケースもあります。

 

強い権限が滞納処分に認められているのは、納税の義務(憲法30条)があるからです。

税金を支払う人と支払わない人との不公平を回避し、この義務を果たさせようという動きです。

しかし、だからといって、滞納者の生存権などの人権を侵害してよいわけがありません。

 

差し押さえ禁止を回避した税金の差し押さえ

行き過ぎた滞納処分として、質問検査権を使い、給料や年金の入金日、入金口座を把握し、入金される日に、自ら
その口座を差し押さえるという事件があります。

給料の差し押さえ等では、納税者の生活のため、差し押さえ禁止部分がありますが、預金の差し押さえでは全額が対象になってしまいます。

入金された給料等が全額差押えによって取り上げられる事例もあります。

このようなことがされると、納税者も生活できません。

給料等の収入については、生存権を保障のために、一定の割合の差押えができないものとされています。

そのような差し押さえは脱法的なものと認められます。

差し押さえが違法と、のちの裁判で認定される事例もありますが、そのような手続きまでできていない人も多数いるでしょう。

 

税金の差押えで預金残高がゼロに?

税金の担当者と分割払いの話などをしていても、急に差押がされることがありますので、本当に注意が必要です。

 

給料の差押の場合には、納税者の生活保障という視点から、一定額の差押禁止額が決められています。

これに対して、預金の差押については、禁止部分がないのが原則です。

給料の入金日を狙って預金残高を差し押さえるということが、今でも行われている自治体もあります。

差押禁止条項を意図的に回避するような狙いで差押をした場合には、預金差押でも違法とする裁判例もあります。

差押のタイミングや、連続して差押がされているようなケースでは違法とされることもあります。

 

あまりにも行き過ぎた差押がされた場合には、このような裁判例で争えないか検討することになります。

相手が合法だと主張する場合、こちら側の窮状を訴えるだけでは、差押の解除や差押えられた預金が返還されるということは難しいでしょう。

 

滞納整理機構による回収強化

地方自治体は、滞納者への徴収力を強化する動きに出ています。

職員は人事異動などもあり、徴収力は担当者任せということも多かったです。

その対策として、複数の地方自治体が集まり、徴税技術を共有する取り組みが行われました。

各地に地方税滞納整理機構ができるようになったのです。

これにより、多くの自治体で徴収率は上がるようになりました。

この結果、生活困窮者からの回収、行き過ぎた徴収も目立つようになってきたのです。

予告もなく自宅を訪問したり、短期間での納付を強要する事例も問題になっています。

給料が預金口座に入金された直後に、全額差し押さえる事例なども、このような経緯で増えたものでしょう。

 

 

このように強い力を持つ税金はなるべく滞納しないようにしなければなりません。

支払の優先度としては、借金よりも上なのです。

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