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給料ファクタリングの法規制は?

最近、給料ファクタリングに手を出してしまう人が増えています。

給料の前借りだと思って手を出してしまうと大間違いです。

業者の広告等に惑わされないようにしてください。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.8

 

給料ファクタリングについては、2020年3月に金融庁の回答がされましたので、解説しておきます。

動画での説明はこちら。

 

そもそもファクタリングとは?

給料ファクタリングについての相談が増えています。

そもそも、ファクタリングという言葉は、個人事業者や会社が、持っている売掛金を担保にしてお金を借りる、債権の現金化として使われていました。

このような仕組みで使われているものを、普通のサラリーマンの給料でやろうとしたのが給料ファクタリング問題です。

 

給料は債権と呼ばれる権利

給料についての債権関係を確認しましょう。


給料の仕組みとして、従業員は、会社に対して給料を払ってくれという権利を持っています。

この権利を給料債権などといいます。

従業員から会社に対する権利です。

この権利を第三者が差し押さえることもあります。

この場合、従業員から会社に対する債権を差し押さえるので、債権差押え手続が使われます。

 

給料債権ですが、給料日まで払われるものではありません。

締日などがあり、給料日になって初めてもらえるものです。

 

給料の前借りは?

給料日前にお金が必要な人に対して、職場である会社自体が給料の前借り制度を作っていることもあります。


この給料前借り制度ではなく、まだ給料日でないタイミングで、給料債権をお金に換えたいというときに、勧誘されるのが給料ファクタリングです。

給料日前の現金化として使われているものです。

給料の前借りや現金化で調べると、広告が出てきます。

給料日前に現金を手にすることはできるので、給料の前借りと同じだとか、現金化をアピールしてきます。

 

 

給料ファクタリングの仕組み

給料ファクタリング業者は、従業員から給料の一部なりを買い取る形になります。

この時点で、代金を従業員に対して支払います。

法的には債権譲渡という構成が主張されるようです。

しかし、債権譲渡の際に通常される対抗要件である債権譲渡通知は送りません。

給料債権では、債務者なる会社側は、この債権譲渡の通知がされないので、債権譲渡を認識していません。

 

そのため、給料日にそのまま従業員に給料を返します。

そもそも、会社は給料を従業員に対して支払わなければならないのが法律上のルールです。

ここで、従業員から給料ファクタリング業者に対して、一定のお金を払います。

法的には債権の買い戻しという構成が主張されるようです。

この際、従業員は、最初に受け取ったお金に手数料を加算します。

 

たとえば、最初に10万円を受け取った場合、手数料を加算して15万円を渡すというイメージです。

 

貸金、利息が実態では?

ここのやり取りを見ると、10万円を借りて、1ヶ月以内に利息で5万円を加算して返しているだけのように見えます。

実態は貸金ではないのかという話です。

貸金だとすると、手数料名目で加算した金額が利息となりますが、数日~1ヶ月以内の利息としては、高すぎます。

これが払えないという問題があります。

また、払えない場合の業者の請求が、結構厳しい取り立てのこともあるようです。

夜間に自宅に取り立てに来たり、会社に言うぞという脅しのような話をしたり。

このような取り立てからも、給料ファクタリングは問題視されています。

実際に、裁判を起こされて問題になっているケースもあります。

ちなみに、給料ファクタリングではなく、売掛金のファクタリングでもヤミ金融のような業者はいますので、ご注意ください。

 


金融庁の回答は?

給料ファクタリングに対し、金融庁は2020年3月6日に、貸金業であるとの見解を示しました。

「個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権について、労働者が賃金の支払を受ける前にそれを他に譲渡した場合においても、その支払については労働基準法(昭和22年法律第49号)第24条第1項が適用され、使用者は直接労働者に対し賃金を支払わなければならず、したがって、その賃金債権の譲受人は自ら使用者に対してその支払を求めることは許されないとの同法の解釈を前提とすると、照会に係るスキーム(個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うこと。)においては、いかなる場合であっても賃金債権の譲受人が自ら使用者に対してその支払を求めることはできず、賃金債権の譲受人は、常に労働者に対してその支払を求めることとなると考えられる。」

給料ファクタリングの構造上、債権譲渡といっても、業者が会社に対して給料を払えということはできず、結局業者は、労働者に対して請求するしかないという構造を認定しています。

「そのため、照会に係るスキームにおいては、賃金債権の譲受人から労働者への金銭の交付だけでなく、賃金債権の譲受人による労働者からの資金の回収を含めた資金移転のシステムが構築されているということができ、当該スキームは、経済的に貸付け(金銭の交付と返還の約束が行われているもの。)と同様の機能を有しているものと考えられることから、貸金業法(昭和58年法律第32号)第2条第1項の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」に該当すると考えられる。したがって、照会に係るスキームを業として行うものは、同項の「貸金業」に該当すると考えられる。」

結論として、貸金業法の貸金業に該当するというものです。

もちろん、これは、金融庁の回答に過ぎませんので、法律で明記されていたり、最高裁で判決が出たという結論とは違います。今後、異なる解釈がとられる可能性もあります。

ただ、実態としては、私も貸金業と同じだろうと感じます。

 

 

貸金業とした場合の法規制は?

貸金業という前提に立つと、 貸金業登録などの貸金業法の規制が及びます。

さらに、お金の貸し借りという話であれば、他の法律規制も及びます。

まず、利息制限法。

利息の上限利率を決めている法律です。

元金にもよりますが、年利18%とか20%などという規制があります。

強行法規ですので、これを上回る利率の合意をしても無効。

無効になったものは元金に充当し、払いすぎていれば過払い金として取り返すことができるということになります。

サラ金で問題になった過払い金です。

 

さらに、出資法規制。

こちらは刑事処罰も含む利息規制です。

出資法では、普通の人の貸金であっても年利109.5%。

これを超過すると刑事処罰の対象になります。

業として貸金をしている貸金業の場合、こちらが、年利20%。

利息制限法と同じですね。

この上限利率は、昔はもっと高かったのですが、徐々に下がり、現在の利率設定になっています。

 

上限利率の趣旨は?

このような利率設定がされている趣旨は、借主保護です。

明らかに高すぎる利率では、返済不能になります。

ヤミ金融などの厳しい規制がされたのも借主保護のためです。

そのような趣旨での規制ですので、脱法行為も厳しく認定されます。

 

現状では、金融庁の回答がされただけの段階ではありますが、給料ファクタリングでの手数料が、利息計算をした場合に、上記の利率を上回るような場合、そういった借金に手を出すのはまずいことになります。

返済不能にまっしぐらです。

他に借金などがあり、給料の前借りが必要だという場合には、他の借金について、債務整理などを活用した方が良いといえるでしょう。

給料ファクタリングについては、手を出さない方が無難です。

 

 

給料ファクタリングの解決事例

金融庁による回答後、全国的にファクタリング業者に対する裁判が増えています。

ジン法律事務所弁護士法人でも、複数の給料ファクタリング借入がある方からの依頼を受け、ヤミ金融と同様の対応、すなわち、債務については高利のため支払い拒絶、支払金については不当利得返還請求をし、一定額の回収が交渉によりできている事例があります。

おそらく、現在は、ヤミ金融が全盛期のような対応、ヤミ金融からも過払い金を回収できていた時代に近い状況と思われます。

このような回収は、請求者が増えることにより、今後は事実上、難しくなっていく可能性が高いと見込んでいます。

 

 

 

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